会派視察記(宮崎・熊本) 後編~「再生」と「生まれ変わること」は違うということ~

【2020.0212~0213】

視察報告は議会にも提出するのですが、あまり個人の強い思いは書けないので、ここに書き残しておきます。先に掲載した県立飯野高校の取り組みでも感じた事ですが、日南市の油津(あぶらつ)商店街を訪問した際に、
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(商店街の)未来は、
『再生』=昔のよかった頃に戻りたい…
ではなく、
『生まれ変わる』=今、必要とされる形に変化しようと努力しようとすること

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だという言葉に強く共感を覚えました。


私の前職は百貨店勤務(流通小売り)であり、なかなか元気を取り戻せない業界でした。そんな私自身が、当時から地域や政治に対して常々思っていたことで、商店街だけでなく、地域やまち、議会などすべての「未来」に当てはまることだと思っています。

以下、個別の視察に対して、前職の百貨店マン当時を思い出し(?)、偉そうな表現もありますが、自分なりに分析というか視察記を残してみました。今でも、マーケティングやブランディングには、とても関心があるので興味深く視察をさせていただきました。「誰もが住みよいまち」の実現には、マーケティングやブランディングが大切な要素になると確信しています。

① 油津商店街(宮崎県日南市)

【視察概要】
空店舗の増加、歩行者通行量や小売販売額の減少等、衰退傾向が顕著になった油津商店街は平成24年に日南市中心市街地活性化計画の内閣認定を受け、官民一体で中心市街地活性化に取り組まれてきました。

その中に、キーマンが3人おられたとの説明や、油津地区活性化の事業主体である「株式会社油津応援団」の事業内容について説明受け、現地視察をさせていただきました。

説明をしてくださった方は、昨年まで地域おこし協力隊として活躍され、現在は㈱油津応援団の一員であり、コンテナで無人の古本屋を営むという杉本さん(29歳)。ユニークな発想をお持ちの方でとても楽しく話を聞かせてもらいました。長年、商店街の近くでプロ野球の広島カープがキャンプをしており、全体的に赤色が目立つ印象でした。

テナントリーシングは非常に難航したとのことですが、ランドマークとして古くから愛されてきた喫茶店を市民の手で蘇らせたことを機に一気に加速したことや、居抜き、リノベーション済の物件にIT企業が進出したり、今話題のco-workingスペースやco-livingスペース、ゲストハウスなど若者が多く集う施設も増えたとのことでした。

人が人を呼び、様々な人がアイデアや技術を持ち込んで今日の商店街に発展しているとのこと。今後も出店者を募っていく方策などをお聞きするうちにワクワクしている自分がいました。

② HITOYOSHI株式会社(熊本県人吉市)

【視察概要】
2008年に親会社の経営破綻を機に工場を買い取り、当初はシャツのOEMのみで再出発をされた竹長工場長に当時のお話しを伺い、工場内も案内してもらいました。

現在では、名のあるブランドやセレクトショップの商品をOEMとして生産するだけでなく、自社ブランドや有名ブランドとのコラボ商品を展開するなど高度な技術を有する貴重な国内の縫製工場である。その品質は、英国の高級ブランドも惚れ込むほどのもの。

具体的には、スーツのように立体裁断でシャツを仕立てるため体にフィットし、動きやすいシャツが誕生する。工場内はほぼ女性で、生地の裁断はCADデータを元に最新鋭の機械(数千万円=補助金の活用)が10数枚重ねの生地を素早く裁断をしていく。

各パーツは、各工程の担当者に渡され、小型のミシンでそれぞれ人の手によって縫製されていく。仕上げの工程においても、アイロンがけ、検品は人の手と目によって細かくチェックされていた。

現在、従業員数は100名ほどでそのうち数名をベトナムの協力工場と連携し、技能実習生を受け入れているとのこと。機械と人間がうまく分業を行い効率的かつ高い品質で作られている。百貨店で人気のベーシックなワイシャツは9,500円程度でとにかく、コスパが素晴らしい!

【番外】
HITOYOSHI(株)の親会社が倒産したのは、リーマンショックが起こった2008年。百貨店で紳士フロアに配属されていた私は、お取引先の企業が次々に経営破綻していくのを目の当たりにしていました。HITOYOSHI(株)の当時の親会社が経営破綻したときも、そんな大手が潰れるのだと大きな衝撃を受けたことを最近のことのように覚えています。取引先の方や販売員の皆さんと辛い時期を共にした記憶が蘇りました。

月日が経ち、今回の視察をさせていただいたことで、改めて政治家として、「自分のやりたいこと」や「やらなければならないこと」の1つがさらに明確になったように思います。