予算特別委員会(商工部)質問全文

【2024.03.14.thu.】予算特別委員会歳出第7款『商工費』

(冨永)

民主県政クラブ県議団の冨永芳行です。通告に従い質問をします。

今月4日には、東京株式市場の日経平均株価が4万円台を突破し、34年ぶりに過去最高値を記録しました。しかしながら、市民生活において、この恩恵と言いますか、株価の上昇を実感されている方は少ないのではないかと思います。実質賃金は上がっておらず、GDPも世界4位に転落している今、好調と言われる企業収益がとりわけ、中小企業で働いておられる皆さんの賃上げなどに波及しなければなりません。今年の春闘は、昨日が大手企業の集中回答日ということで今朝の新聞などには、賃上げ「満額」、「労組要求越え」などの文字が躍っていますが、新たな格差を生じさせないためにも、これから「労使交渉が本格化する中小企業」や、小規模事業者、あらゆる形態で働かれる方に、この流れが波及することが重要です。そこで、まず最初に、県内中小企業の現在の経営環境をどのように分析されているのか、景気動向の方向性を示すDI指数や倒産状況をもとにお聞かせください。

【問①】直近の業況判断DI指数や倒産状況等から、県内中小企業の をどのように分析しているか。

【答①(商工政策課長)】

県内中小企業の業況判断DIは、コロナ禍の影響により大きく悪化した後、昨年7〜9月期にはマイナス7.1ポイントまで回復しましたが、直近 昨年10〜12月期はマイナス17.8ポイントとなっています。企業からは、「原材料や燃料単価の高止まりで先行きが不透明」「材料等の仕入単価が上昇しているが、価格転嫁できていない」などの声が上がっております。また、県内企業の倒産件数ですが、「ゼロゼロ融資」などの支援により、 令和3年には過去最低まで減少しましたが、昨年4月から直近の今年2月まで前年同月を上回っており、コロナ前と同水準の状況となっています。 原材料やエネルギー価格の高騰、人件費の上昇、コスト上昇を価格転嫁できなかったことなどに加え、「ゼロゼロ融資」の返済が本格化し、企業の収益を圧迫したためと分析しています。こうしたことから、県内中小企業は依然として厳しい経営環境にあると認識しております。

(冨永)

価格転嫁の問題、ゼロゼロ融資返済の本格化など県内中小企業は、依然として厳しいとの分析でした。本県企業数の実に99.7%、全従業者数の約8割を中小企業が占めると言われています。私も議員になる前、百貨店に勤務しておりましたので、当時のお取引先の方々から現在の厳しい窮状をお聞きしているところです。

今月2日、我が会派所属の多くの議員と、(本日、傍聴にお越し頂いていますが)連合福岡の皆さまとで春闘の勝利と政策実現に向けた総決起集会に参加させて頂きました。組合員の皆さまなど関係者、約2,000人を前に連合福岡の藤田会長は「30年近く、日本の賃金水準は先進国の中で最低レベルのまま上がらなかった。経済が活性化し成長しながら将来にわたって賃金が継続的に上がり続ける、好循環に、ステージを変えていこう」との訴えをされました。連合福岡は、今年の春闘で定期昇給分をあわせて「5%以上」を目安とした賃上げを求めており、約30年ぶりの高い水準となった昨年以上の『賃上げ』、物価上昇に負けない『賃上げ』を求めています。原油価格の高騰や円安の進展などによるエネルギーコスト、原材料価格の上昇が続いている中、知事も言われます「成長と分配の好循環」を生み出す、中小企業・小規模事業者の賃上げを実現するためにも、稼げる力、コスト上昇分を適切に価格転嫁することが重要です。本県は、昨年2月27日に、連合福岡をはじめ、国の地方支分部局、県内経済団体などの全13団体による「価格転嫁の円滑化に関する連携協定」を締結しています。この協定に基づき、参加団体が相互に連携、協力し、労務費、原材料費などの上昇分を適切に価格転嫁することについての機運を醸成することで、サプライチェーン全体での共存共栄、付加価値の向上を図ってきたものと承知しております。そこで、昨年2月の官民労13団体による「価格転嫁の円滑化に関する協定」締結後、どのような取組を行ってきたのかお聞きします。

【問②】 昨年2月の官民労13団体による「価格転嫁の円滑化に関する協定」 締結後、どのような取組を行ってきたのか伺う。

【答②(中小企業振興課長)】

県では、昨年2月の「価格転嫁の円滑化に関する協定」締結後、官民労が連携・協力し、コスト増加分を適切に価格に反映させる機運醸成に組んできました。 具体的には、サプライチェーン全体の共存共栄を図る本協定の狙いやパートナーシップ構築宣言の意義について、事業者の皆様の理解を深めるための取組を進めてきたところです。5月には、価格転嫁の円滑化に向けた機運醸成のため、「取引適正化推進フォーラム福岡大会」を開催したほか、10月と、本年2月には、取引適正化や賃上げの実現を訴える「街頭啓発活動」を実施いたしました。 また、今月の「価格交渉促進月間」にあわせて、新聞やラジオ等による広報・啓発活動を集中的に行っているところです。 さらに、取引先との共存共栄を図るパートナーシップ構築宣言企業の登録促進のため、昨年4月から、県の中小企業向け補助金における加点措置を導入しております。

(冨永)

様々な取組をお聞きしました。先月22日の博多駅博多口での街頭活動もおつかれさまでした。それでは、協定に基づく取組によって、どのような成果が得られたのかお聞きします。

【問③】協定に基づく取組により、どのような成果が得られたのか?

【答③(中小企業振興課長)】

本県のパートナーシップ構築宣言企業数は、昨年2月の協定締結時の 662社から3月13日現在1,398社へと倍増しており、協定締結 前と比べて増加ペースが加速しています。

(冨永)

(東京、大阪、愛知などに次いで)全国7位という事でしたが、先ほども述べましたが、中小企業の割合が大きい本県ですので、まずは大企業を中心に宣言企業となって頂くことは、重要だと考えます。ところで、同協定の有効期限は、今月末となっています。継続すべきと考えますが、課長の考えをお聞かせください。

【問④】協定の有効期限は今月末までとなっている。継続すべきと考えるがいかがか。

【答④ (中小企業振興課長)】

昨年2月の協定締結後、官民労13団体で連携・協力して取り組んでき た価格転嫁の機運を削ぐことがないよう、本協定の更新を各団体に働き かけているところであり、今後も、13団体で連携し、パートナーシップ 築宣言企業の登録促進などに継続して取り組んでまいりたいと考えております。

(冨永)

更新、継続される意向だということですが、来年度はどのような取組を行っていかれるのか、新たな取組もあればお聞かせください。

【問⑤】協定を更新し、取組を継続する意向であることはわかった。 どのような取組を行っていくのか。

【答⑤(中小企業振興課長)】

 来年度については、引き続き、官民労13団体で連携して、パートナーシップ構築宣言企業の登録促進や、3月及び9月の「価格交渉促進月間」 に合わせた広報・啓発活動など、これまでの取組を行っていく考えです。 また、新たに、事業者にとって課題となっている、価格交渉の進め方や原価計算の方法など、価格交渉に必要なスキルの向上を目指したセミナ一のほか、社会保険労務士や中小企業診断士などの専門家が、賃上げや価格転嫁に繋がる取組を専門的知見から伴走支援する「中小企業賃上げ応援専門家」の派遣にも取り組む考えです。

(冨永)

新たな伴走型の支援メニューにつきましても、しっかりと中小企業の皆さんへ周知していただくようにお願いいたします。9月、3月の「価格交渉促進月間」に合わせた広報・啓発活動を行うとのことでしたが、今月の「価格交渉促進月間」では、具体的にどのような取組を行っているのかお聞かせ下さい。

【問⑥】「価格交渉促進月間」に合わせた広報・啓発活動を行うとのことだが、 今月の「価格交渉促進月間」では、具体的にどのような取組を行っているのか。

【答⑥(中小企業振興課長)】

今月の「価格交渉促進月間」では、官民労13団体で連携し、各団体の広報紙やメルマガ、ラジオ、X、LINEに加え、新聞広告では、紙面の中央見開き2ページに、13団体の取組や賃金と物価の好循環の仕組などをわかりやすく解説した記事を掲載するなど、適切な価格転嫁の必要性を訴えたところです。

(冨永)

様々な媒体やSNSなどを活用し、適切な価格転嫁の必要性を訴えておられるとのとですが、ここ数日で、自動車メーカーに続き、外資系の小売店による新たな「下請けいじめ」の問題も明らかになっています。私自身、小売り・流通業界に長年おりましたので、この問題は、痛いほどよく分かります。『商慣習』とは恐ろしいもので、発注側(強い立場)のトップがいくら共存共栄、パートナーシップ構築を宣言しても、残念ながら、現場担当者レベルでは、違法性の認識がない場合も多い。受注側が泣き寝入りしているケースが多々あります。私自身がそうでしたが、、、「お客様のためにいいものをより安く」という、、デフレマインドを拭い去り、よい製品やよいサービスには、しっかりと相応の価格転嫁をしていかなければなりません。時代に合わない「悪しき商慣習」を打破するための機運醸成をしっかり行っていきたい、行っていただきたい、自戒も込めまして、「弱い者いじめは絶対に許さない」と社会が目を光らせることこそが重要だと考えています。それでは最後に、価格転嫁の円滑化に向けた、中小企業への支援について商工部長の決意をお聞かせください。

【問⑦】価格転嫁の円滑化に向けた、中小企業への支援について、商工部長の 決意を伺う。

【答⑦(商工部長)】

 中小企業が収益を上げ、事業を継続し、雇用の維持や賃上げを現するためには、価格転嫁の円滑化、そして取引の適正化が極めて重要です。 県は、社会全体の機運醸成を図るため、昨年2月、官民労13団体で「価格転嫁の円滑化に関する協定」を締結しました。この結果、本県のパートナーシップ構築宣言企業数は、協定締結時の662社から1,398社へと倍増するなど、一定の成果は上がっているものの、まだまだ道半ばの状況であると認識しております。 この協定は3月末で期限を迎えますので、まずは、各団体に呼びかけ、更新を図ります。 その上で、各団体と連携した広報や、街頭啓発活動、パートナーシップ構築宣言企業のさらなる登録促進など、価格転嫁の円滑化に向けた取組を加速させてまいります。また、今後、事業者を伴走支援するため、「中小企業賃上げ応援専門家」の派遣事業をスタートさせるとともに、来年度からは新たに、事業者の価格交渉スキル向上のためのセミナーも開催したいと考えております。

こうした取組を通じ、中小企業における価格転嫁の円滑化を促進し、「賃金と物価の好循環」の実現を目指してまいります。

(冨永)

部長の決意をお聞きしましたが、働くすべての皆さんの賃上げが実現されますよう、労使交渉の妥結状況を元に、知事のお考えをお聞きしたいと思います。

委員長、知事保留質疑のお取り計らいをお願いします。 終わります。