2024.03.19.tue. 知事保留質疑(全文書き起こし)

会派唯一の知事保留質疑で緊張しました。

(冨永質問)

民主県政クラブ県議団の冨永芳行です。価格転嫁の円滑化に向けた取組について知事にお尋ねします。本日、連合福岡の皆さまも傍聴にお越し頂いておりますが、2024春闘の集中回答日が先週ありました。私も長く民間におりましたので、毎年この時期は期待感に溢れていました。大手企業では、満額、あるいは労組側の要求を上回る回答が多かったとの報道が続いています。

①こうした報道について、知事はどのように受け止めておられるのか、お聞かせください。

 一方、中小企業は、大手企業と比べて、一般的に賃上げの余力に乏しい状況があります。賃上げを実現するには、その原資を確保することが不可欠であるものの、業種によっては、原材料価格やエネルギーコスト、労務費等の価格転嫁に苦慮している実情があります。とりわけ、労務費については、受注者の生産性や効率性の向上を図ることで吸収すべきという話もあります。所謂、「営業努力」や「企業努力」といって、弱い立場にある受注者側に負担を押し付けることが『下請けいじめ』に繋がっていると考え、今の時代に合わない「悪しき商慣習」を打破したいと先日、この場でお話をさせていただきました。

 ②こうした状況を踏まえ、価格転嫁の円滑化に向けて、県は今後どのように取り組んでいくのか、知事の考えをお聞かせください。

傍聴席に連合福岡の皆さまもお越しくださいました。守谷県議のサポートのもと質問に立ちました。

(知事答弁)

日本経済は、バブル崩壊後の「失われた30年」の間、低成長とデフレに見舞われ、世界でインフレが進行する中、賃金も物価も横ばいの状態が続いてきた。ロシアのウクライナ侵略や円安による原材料・エネルギー価格の上昇を背景とした物価の高騰は、社会・経済活動に大きな影響を及ぼしており、物価の上昇を上回る賃上げを実現することが喫緊の課題である。こうした中、今年の春闘は、自動車や電機、鉄鋼等の大手企業において、軒並み日本労働組合総連合会(連合)が目標とした「5%以上」の賃上げ率、「3%以上」の ベースアップを達成している。今年1月の消費者物価指数(生鮮食品を除く)が前年に比べ2.0%の上昇であることを踏まえると、物価上昇を上回る賃上げにより、 実質賃金がプラスに転じることが期待される。本県においても、JR九州(ベア2万円超)やトヨタ自動車九州(18,000円超)、西日本鉄道(12,800円)、安川電機(6%ベア満額)などの大 企業で過去最高水準の回答が相次いでいる。一方、中小企業は、厳しい経営環境に加え、高騰する原材料費やエネルギーコスト、労務費の適切な価格転嫁が十分にできていないという課題もあり、連合福岡が公表した春闘の第1回集計結果では、大企業の賃上げ率6.78%に対し、中小企業は3.76%にとどまっている。 30年続いたデフレから脱却し、賃金が増え、経済が成長する中で緩やかに物価が上がる「賃金と物価の好循環」の実現には、県内雇用の8割を担う中小企業の持続的な賃上げが不可欠である。現在の大企業の大幅な賃上げの動きが、今後、交渉が本格化する中小企業へ波及していくことが重要と考える。

価格転嫁の円滑化のためには、「社会全体の機運醸成」と、「発注者側」「受注者 側」それぞれに対する取組が必要である。 「社会全体の機運醸成」のためには、行政による取組だけでなく、経済団体や連合福岡などの労働団体との連携が重要である。このため、県で、昨年2月に官民労13団体で「価格転嫁の円滑化に関する協定」を締結した。この協定に基づき、「取引適正化推進フォーラム福岡大会」を開催したほか、取引適正化や賃上げの実現を訴える「街頭啓発活動」、毎年3月と9月の「価格交渉促進月間」には、新聞やラジオ等による広報・ 啓発活動を集中的に行ってきたところである。 「発注者側」については、取引上、優越的地位にあることから、適正取引の意識を高めることが重要である。このため県では、発注者側の立場から企業の共存共栄を目指す「パートナーシップ構築宣言」を周知するとともに、県の中小企業向け補助金において加点措置を導入するなど、その登録促進に取り組んできた。また、昨年12月には、県内経済団体へ知事名で文書を発出し、高騰する原材料費やエネルギーコスト、労務費の適切な価格転嫁について、理解を促したところである。こうした取組により、本県の宣言企業数は、昨年2月の協定締結時の662社から、3月18日現在では1,414社へ倍増している。 「受注者側」については、価格交渉を円滑に進めるため、事業者の価格交渉スキルの向上を図ることが重要である。このため、来年度から新たに、事業者を伴走支援する「中小企業賃上げ応援専門家」の派遣に取り組むとともに、事業者の価格交 渉スキル向上のためのセミナーを開催する考えである。価格転嫁の機運を削ぐことがないよう、県では、3月末で期限を迎える協定の更 新を、各団体に働きかけているところであり、今後も引き続き、この協定のもと、13団体で連携し、価格転嫁の円滑化に向けた取組を進めてまいる。

服部知事も細かく丁寧に答弁してくださいました。

(冨永御礼)

ご答弁いただき、ありがとうございます。「働くすべての皆さん」の賃上げが実現される福岡県にむけて、

私も議会の一員として、引き続き、価格転嫁が円滑に進むような社会全体の機運醸成に微力ながら力を尽くして参りいと思います。

知事におかれましても、官民労13団体の連携もと、円滑な価格転嫁に向けた取組を一層、強化して頂きます様に、お願い申し上げまして、質問終わります。

ありがとうございました。

今回は、会派22名から8名が委員として選出されました。渡辺副委員長、新井理事、守谷委員大変お世話になりました。