9月議会一般質問(全文)

9月議会にて、就任後2度目の一般質問に立たせていただきました。

選挙前から4世代時代あらゆる世代、様々な立場の方のお声を県政に届けることをお約束しております。身近な問題から分かりやすく伝えることが私の使命だと思っています。

今回は、10代20代の方と保護者の方から頂戴したご相談について質問させていただきました。登壇後に、母校の話なのか?選挙区内の話なのか?との問い合わせがありましたが、どちらもノーです。会派内で最年少の私の元には、若い世代の方からも多くの相談や問い合わせがあります。

2022年4月の民法における成年年齢の18歳引き下げに向けて、若者も政治に口出ししていいんだ!という流れを作っていけたらと思っています。

質問全文

(冨永)登壇・質問
民主県政クラブ県議団の冨永芳行でございます。
今回は10代、20代の方やその保護者からいただいたお声を届けて参りたいと思います。それでは通告に従いまして、本県の県立高校における校則の実態について質問させていただきます。 高校生が学校生活を送る上で、一定のルールを定めたものが校則であります。文部科学省は、校則について「児童生徒が順守すべき学習上、生活上の規律として定められ、健全な学校生活を営み、よりよく成長していくための行動の指針」と定義する一方で、「内容は児童生徒の実情、保護者の考え方、地域の状況、社会の常識、時代の進展などを踏まえたものになっているか、絶えず積極的に見直さなければならない」としています。

校内暴力の深刻化等に伴い、1970年代に始まったとされる校則の厳格化は、1980年代に入ると、管理主義批判の影響からその是非が議論されるようになりました。1991年には当時の文部省から「校則見直し状況等の調査結果について」の通知が出され、その中で全国の学校に対し、「今後とも児童生徒の実態、保護者の考え方、地域の実情、時代の進展等を踏まえ、指導のあり方を含む校則の積極的な見直しを図り、校則及び校則指導が適切なものとなるよう」指導することが求められています。当時の「校則見直し状況等の調査結果」によると、調査対象校となった学校の約6割で服装に関する校則の改訂が行われ、同、3割の学校で頭髪に関する校則の改訂、2割の学校で校内・校外生活に関する校則の改訂が行われたとされ、その改訂理由の多くが「時代の進展」や「内容瑣末」であったとされています。また近年は、合理的な説明のつかない校則は、いわゆる「ブラック校則」としてメディアで取り上げられ、個人や多様性が尊重される現代において「高校生らしさ」とは何か?という議論も活発に行われているところです。

そこで1点目に教育長にお聞きします。県内の県立高校における校則の見直し状況をどのように把握しておられるのか。また、近年の校則見直しの主な内容と校則の見直しを行った理由をお聞かせください。

① 生活用品メーカー大手の『プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン(P&G)』が社会全体で学生の個性の尊重について考える広告キャンペーンを現役中高生や卒業生、現役教員の合計1,000名を対象に本年2月に実施し大きな話題となりました。その中で、現役中高生と卒業生に対して、「生まれつき茶色い地毛を、学校から黒染めするよう促された経験があるか?」と尋ねたところ、13人に1人が学校から地毛の黒染めを促された経験があると回答しています。本県においても多くの県立高校が、髪の長さをはじめ、髪染めやパーマの禁止など頭髪に関する細かな校則を設けており、中には頭髪の色素の薄い生徒や癖毛の生徒に対して、保護者の署名や捺印をも含む「地毛証明書」の提出を求める学校もあると聞き及んでおります。

そこで2点目に教育長にお尋ねします。本県の県立高校でいわゆる「地毛証明書」の提出を求めている学校の現状とこれに対する教育長の認識についてお聞かせください。

② 今回、私が校則について質問するに至ったきっかけは、県内の県立高校に通う高校生とその保護者からの相談でした。事前に地毛であることを学校側に伝えていたにも関わらず、校則を理由に、繰り返し地毛の黒染めを強いられていたとのことでした。過去には、学生証の裏側に生徒指導の観点から「赤毛」とだけ印字したシールを貼る学校もあったと聞き及んでいます。黒染めを巡っては、2017年に大阪の府立高校で、生まれつき髪が茶色であるにも関わらず、校則を理由に、繰り返し黒く染めるよう強要された女子生徒が体調を崩し、不登校になったという事案も発生しています。また、本年7月には、一部の都立高校が、地毛の頭髪でも黒く染めさせる生徒指導をしているとして、NPO法人代表や弁護士らが中止を求める約2万人分の署名と要望書を都教育委員会に提出し、都教委は地毛の黒染め指導をしないよう都立学校長に対して徹底して求めていく考えを表明しています。

にも関わらず、本県において、前述のような教育的な指導以前に生徒の人権を無視するような指導や対応が行われていたことは大変残念でなりません。こうした学校側の頭髪指導のあり方について、教育長の考えをお聞かせください。

③ 前述のP&G社の「頭髪校則の調査」によると、現役中高生の69%が「自由な髪型が許されてもよい」と考えている一方で、「髪型校則がある理由を教員に尋ねた事があるか」との質問に対しては、91%の生徒が「髪型校則がある理由を聞いたことがない」と答えており、校則について疑問をもちながらも生徒側から本音で教員と話せていない実態があること明らかになりました。近年、公職選挙法の選挙権年齢を18歳と定めるなど、18歳、19歳の若者にも国政の重要な判断に参加してもらうための政策が進められ、2022年4月には、民法の成年年齢も同様に18歳に引き下げられます。政府は、成年年齢を18歳に引き下げることは、若者の自己決定権を尊重するものであり、その積極的な社会参加を促すことになるとしています。成年年齢18歳引き下げを前に16歳、17歳の高校生が身近な校則について考えることは大変、重要なことだと考えます。

そこで4点目に、これまで県内の県立高校において、生徒が主導で校則の見直しが行われたことはあるのか?あれば、具体的な事例をお示しください。

④ 最後に、2022年に施行される成年年齢の18歳への引き下げは、県立高校の校則のあり方にも大きな影響を与えると考えます。各校が時代に即した校則にしていくためにはどのような対応をされるのか教育長の決意をお聞かせください。

(城戸教育長)登壇・答弁
①県立高校における校則の見直しについて
●校則の内容については、学校によって大綱的なものから細かな事項を定めた ものまで様々であるが、県教育委員会が3年毎に実施する校則に関する調査では、直近の3年間で約9割、10年間では全ての学校で、その見直しが行われ ている。

● 近年見直された校則のうち、主なものとしては、選挙権年齢引下げに伴う政 治的活動に関するものや、運転免許取得条件の緩和に関するものがある。校則見直しのきっかけは、教職員の課題意識によるものと生徒・保護者から の要望によるものとが半々であり、いずれも時代にそぐわなくなったものを廃 止したり、情勢の変化に対応するために行われている。

②いわゆる「地毛証明書」の提出について 。
今年度、頭髪に特徴のある生徒について、約8割の学校で入学時に地毛かどうかの確認をしている。そのほとんどは保護者等から口頭で確認をしているが、必要に応じて文書での申告を求めることがある学校は、約3割である。
● こうした対応は、当該生徒が頭髪の指導を受けることなく学校生活を送るための配慮としてやむを得ないものであるが、その場合でも、できるだけ簡素な方法での確認が望ましいと考えている。

③頭髪指導の在り方について
●過去、本県においても、一部の学校で、頭髪に特徴のある生徒に対し、黒染めやストレートパーマなどの配慮を欠いた指導の実態があった。しかしながら、近年県立高校では、規律のみを重視した生徒指導から、生徒 の個性や主体性を十分尊重した指導への転換を図っているところであり、現在 は、生来の髪色の生徒に対して黒染め等を強いる指導を行っている学校はない ことを確認している。

④生徒主導による校則の見直しについて
● 生徒が校則の見直しに主体的に関わった例としては、携帯電話の校内持ち込みが禁止されていた学校において、生徒会が、その利用について生徒の意見を取りまとめ、ルール化した上で、学校への提案を行い、校則の見直しに至った事例がある。 また、生徒からの要望を基に、学校がアンケート調査を行った結果、肯定的な意見が多かったことから、制服の弾力化が実施された事例もあった。

⑤時代に即した校則について
●成年年齢の引下げによって、成年に達した高校生に関しては、保護者の同意なしに法律行為が可能となることから、各学校においては、これを見据え、校則の緩和や、逆に教育的配慮に基づく新たな規定の整備など、校則の大幅な見直しを行う必要があると考えている。
●このため、県教育委員会としては、今年度、校長会に対して、課題の整理や 校則見直しの方向性について検討を依頼したところである。また、生徒指導主事研修会において、成年年齢の引下げを見据えた生徒指導の在り方について法律の専門家による講義を行うこととしている。今後とも、社会情勢の変化を踏まえ、校則の見直しが適切に行われるよう、各学校を指導してまいる。

(冨永)再登壇・要望
本県で過去において、生徒の人権を蹂躙するかのような指導があったことや進学偏重のあまり、「人を育てる」という視点が薄れていくことを危惧しております。改めて、学校長、教職員への指導の徹底をお願い致します。

また、先ほど、成年年齢の引き下げについて言及しましたが、3年後の施行時に18歳を迎える当該生徒は、半年後の4月に入学をされる今の中学3年生です。どうか、生徒や保護者のみなさん、そして現場の教職員の間に混乱が生じぬよう、校則や生徒指導のあり方を今一度、見直していただきますよう、強く要望をし、私の一般質問を終わらせていただきます。