【2020.03.23】予算特別委員会
教育委員会(高校教育課)に対して質問しました。
『新卒高卒者の就職支援と1人1社制について』
新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、経済の停滞、雇用環境の一層の悪化を懸念しています。今朝の西日本新聞の朝刊でも、
「「 相次ぐ内定撤回 」」
という見出しで、23日時点で今春の採用内定を取り消された学生24名が確認をされているとのこと。
特筆したいのは、その内訳が「大学・専門学校生10名」であるのに対し、「高校生14名」ということです。
いつでも、どこでも必ず弱い立場の人が大きな影響を受けるということです。
福岡県内でこの春に卒業予定だった生徒42,017名のうち、約18%にあたる7,650名の生徒が就職を希望していたとのことです。以下のポイントで質問を行いました。
①新卒高卒者の内定までの流れ(就職指導の状況)
②本県内における新卒高卒者の内定取り消し状況について
③リーマンショック当時の対応策などについて
④今後の対応策(法律や有識者の提言等含む)について
簡単に書き起こしをしてみました。
後日、県議会のホームページにもより正確なものが掲載されると思います。
(やりとり全文)
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民主県政クラブの冨永よしゆきでございます。
本日は、「高卒新卒者の就職支援と1人1社制について」質問をさせていただきます。新型コロナウイルスの感染拡大対策として、卒業式を変則的に執り行ったところ、また、式そのものの開催を見送った学校もございます。
従いまして、
「昨年12月末時点」という表現を使わせて頂きますが、昨年12月末時点で、この春に国公立及び私立の全日制、定時制の高等学校を卒業予定の生徒は全国で約104万5,000人、そのうち就職を希望していた生徒が18万1,545名。(約17%)本県においても、卒業予定者42,017人のうち、就職希望者は7,650名と約18%の生徒が就職を希望していたということでございます。
(冨永Q.)
そこで改めまして高校生の就職活動の流れ(内定に至る迄)をご説明下さい。
(★担当課)
高校生の就職活動については、例年、文部科学省及び厚生労働省と関係団体の申し合わせで全国統一的に、その日程が決められております。本年度は、6月1日ハローワークでの求人受付が始まり、7月1日以降、企業から学校に対して求人申し込みが行われました。生徒は、求人票や企業の応募前職場見学などを参考に、保護者や担任と相談しながら、応募する企業1社を決定し、9月5日以降、学校から企業への推薦が行われております。
(冨永Q.)
高卒新卒者の就職活動の日程は全国で統一されており、基本的に、生徒、その保護者と企業の間には学校が入っているという事ですが高校側の進路・就職指導とはどのようにされているのでしょうか?
(★担当課)
高校生の就職活動は、大学生のように個人で自由に行う就職活動とは異なり、基本的には高校が行う就職斡旋を利用しております。この就職斡旋は、進路指導の一環として、入学時から進路希望調査を定期的に実施し、インターンシップ等を効果的に活用しながら、教育活動全体を通じて組織的、計画的に行われており、生徒の適性や能力に基づく適切な職業選択に向けて、きめ細やかな対応がなされているところでございます。なお、高校による就職斡旋を受けないケースは、公務員志望や自営業を継ぐ生徒など少数にとどまっている状況でございます。
(冨永Q.)
就職を希望される生徒の多くが高校の就職斡旋を利用しているとのことですが、
では、この就職斡旋いわゆる「1人1社制について」簡単に他県との比較を含めて説明をお願いします。
(★担当課)
1人1社制は、各都道府県で行政、学校関係者、産業界などの申し合せにより、一定期間、1人の生徒が応募できる企業を1社に絞って学校推薦を行い、内定が得られなかった場合のみ、複数社への応募が可能となる就職慣行でございます。
本県でも申し合せにより、採用試験開始日の9月16日から10月31日までは応募できる企業を1社としており、11月1日以降、1人2社までの応募が可能となります。全国的には、本年度は、秋田県と沖縄県を除く45都道府県で1人1社制が採用されており、10月1日から複数社への応募が可能となる県と、11月1日までに可能となる県がほぼ同数でございました。
(冨永Q.)
就職慣行となっているとのことですが、
では、「1人1社制」のメリット、デメリットをどう考えておられるのかお聞かせ願います。
(★担当課)
1人1社制は、高校と企業との信頼関係に基づき実施しており、多くの生徒が公平かつ確実に内定を得ることができるとともに、中小企業等でも安定的に採用が確保できる仕組みであると考えております。また、内定までの時間が短く、採用試験に伴う生徒の負担と学業への影響が最小限度に抑えられるなどのメリットもあると考えております。一方で、生徒は1社のみに応募し、就職することになるため応募する企業以外を十分に知らず、早期離職の一因となっているとの指摘もあります。このような状況を踏まえて、本年2月に国の有識者会議から、1人1社制の在り方について、各都道府県で検討するよう提言がなされたところであります。
(冨永Q.)
ここ数日、大卒内定者や転職者のケースでしたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響、業績悪化等で、企業の内定取り消し事案が数例明らかにされています。
今後、新型コロナウイルスの感染拡大による雇用環境の一層の悪化が懸念されますが、本年度卒業生の内定者に関して、内定取り消しなどの情報はあるのか、
また、内定取り消しが確認された場合の対応についてお聞かせください。
(★担当課)
現時点において、県立高校において、採用内定を取り消された者はおりません。企業の一方的な都合による内定取り消しは重大な問題であるため、今後、企業から学校に内定取り消しの通知があった場合は、企業側に十分な事情の説明を求め、合理的な理由が認められない場合には、内定取り消しの撤回を申し入れていくことになる。やむを得ず内定取り消しが生じた場合には、すみやかにハローワーク等と連携を図り、新たな就職先の確保に向けた支援を行ってまいります。
(冨永Q.)
では、直近の雇用環境が悪化したケース、例えば、リーマンショック時の高卒新卒者の内定取り消し件数と当時の対応策についてお聞かせください。
(★担当課)
リーマン・ショックの影響により、平成20年9月以降、全国で314名、本県県立高校では2名が内定取り消しを受けている。本県の2名については、学校とハローワーク等が緊密な連携を図り、就職先の確保に取り組んだ結果、年度内に別の企業から採用内定を得ております。また平成21年度からは、急激な求人数の減少に対応するために国の緊急雇用創出事業を活用して、県立学校に企業の人事管理等の経験者を就職指導員として配置し、新規求人開拓や就職指導の充実に取り組んでおります。
(冨永Q.)
新たな取り組みや対応策で年度内に別の就職先を確保されたとのことで生徒の皆さんも大変安堵されたことだと思います。政府の有識者会議は、「1人1社制について」各都道府県に対して、再検討を求めるよう提言したとのことでしたが、
雇用環境が厳しい時には、1人1社制は一定のメリットがある制度のように思いますが、どう考えておられるか?お聞かせください。
(★担当課)
リーマン・ショック当時は、こうした取り組みと併せ、1人1社制により、厳しい状況の中でも、公平に多くの生徒が内定の機会を得ることができ、可能な限り、就職につなげることができたのではないかと考えております。
(冨永Q.)
来年度以降の雇用環境の一層の悪化は容易に予想できます。来年度以降、本県の高校生が不利益を被らないための方策についてお聞かせください。
(★担当課)
リーマン・ショック時のように、雇用環境が著しく悪化した場合には、特に、事務職の求人数の減少が見込まれることから、進学から就職まで幅広く生徒の進路決定を支援する進路支援コーディネーターを、普通科を中心に活用する事できめ細やかな就職支援の取り組みを行ってまいります。
また、どのような経済状況においても、地域の課題を発見し解決する能力を身に付け、将来地域の発展に貢献できる人材が社会から求められております。このため、就職希望の全生徒にインターンシップや企業実習を実施するなど、多様な企業や地域社会と連携した実践的なキャリア教育の充実を図ってまいります。
【冨永要望】
ありがとうございます。
昨年9月の私の一般質問の中で、成年年齢引き下げと高校における校則や生徒指導のあり方について触れさせていただきました。多くの高校の卒業式は3月1日。厳密には18歳を迎えていない生徒もいることになります。
来年度以降、就職を希望される生徒の皆さんの不安を少しでも払拭していただくこと、またミスマッチ防止のためのインターンシップの有効活用をお願い申し上げて質問を終わらせていただきます。
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