文字おこし:糟屋中南部『交流農園プロジェクト』②

冨永:

民主県政クラブ県議団の冨永芳行でございます。通告に従いまして、広域連携プロジェクト。とりわけ、私の地元であります糟屋郡、中でも糟屋中南部で行われています『交流農園プロジェクト』を例にお聞きします。早速ですが、『広域地域振興圏域ごとの広域連携プロジェクト』の一覧の資料をお願いしております。委員長お取り計らいの程、よろしくお願いします。

  • 冨永:
  • まず、広域地域振興課が行う「広域連携プロジェクト」の目的についてご説明願います。また、資料をもとに、具体的に幾つの地域でどれくらいのプロジェクトを行ってきたかお聞きします。
  • 課長:
  • 地域の活性化を図るためには、それぞれの地域の強みを活かした取組により、地元産業の振興をはじめ、交流人口や移住・定住人口の増大を図る必要があります。具体的には、地域資源を活用した観光振興、ブランド化による農林水産業振興や移住定住施策が求められますが、これらの施策を進めるにあたっては、様々な主体が連携して広域的に取り組むことにより、更に実効性を高めることができると考えます。
  • 県、市町村、地域団体、NPOなど様々な主体が連携し、先導的・先進的施策を広域的に実施することにより、地域の活性化を図ることを目的としているものです。これまで15の広域地域振興圏域のうち、資料にありますとおり、北九州市、福岡市、筑紫の3圏域を除く12圏域において、県と構成市町村による推進会議を設置し、これまで53のプロジェクトを実施してきており、現在は26のプロジェクトに取り組んでいるところです。
  • 冨永:
  • 資料を見ますと、2~3年で終了しているプロジェクトがある一方で、平成17年から継続しているようなプロジェクトもあるようです。では、プロジェクト(地域・内容)をどのような過程で決めるのかお聞かせください。
  • 課長:
  • 県と市町村とで構成する推進会議等において、圏域内で共通する地域課題について検討し、その課題解決につながる取組を、圏域の特性や地域資源を考慮しながら、協議の上決定しています。
  • 冨永:
  • 数あるプロジェクトの中で私の地元、糟屋中南部地域における交流農園プロジェクトを例にお聞きして参ります。今年の初めに知人、それも複数(糟屋郡、福岡市内)なんですが、町のホームページあるいは、SNSで体験農園の情報が出てるよって、糟屋郡のこういうとこってやっぱりいいよね!という話になりました。早速、私も町のホームページにアクセスしました。そうすると、県のホームページに飛ぶ。そこに概要なんかが書いてあって申込は、リンクのある農園主に直接、連絡して受付完了という流れでした。体験農園は、貸農園とは違い、道具や苗、種など必要な資材は農園側で準備してくださっています。日常的には、好きな時間に手ぶらで畑に行き、野菜のお世話をする。月に1、2回程度、指定された講習日に、農家の方の指導を受けながら、種まきや収穫も行っています。私も小学校1年生の息子とこの体験農園で春から夏にかけて18種類の野菜を作りました。若手農家の方との交流や畑でお会いする方とのコミュニケーションは非常に貴重な体験だと感じています。野菜のこと、土のこと、害虫のこと、野菜の病気のこと等、農家の視点で教えてくださいます。参加されている世代は様々ですが、私より若い世代(特に子育て世代)の参加も目立ちます。小さい子どもたちが裸足、素手で土に親しむことは非常にいいと私自身も思いますし、同様の事を口にされる保護者の方も多くいます。
  • そこで、どのような経緯で、糟屋中南部でこのプロジェクトが始まったのかお聞かせください。
  • 課長:
  • 「交流農園プロジェクト」とは、県と糟屋中南部圏域6町で構成する推進会議で取り組んだプロジェクトのひとつで、平成22年度から25年度の4年間実施しております。このプロジェクトが始まった経緯ですが、推進会議で広域連携策を検討する中、地域課題として、各町から「高齢者の健康づくりの推進」や「都市圏ならではの土地の有効活用」について提起されたため、都市近郊にありながら豊かな自然に恵まれているこの地域の特徴を活かし、農作業を通じた健康づくり、農園主と都市居住者の交流、世代間交流の促進などにより、地域の活性化を図る目的で、プロジェクトを立ち上げました。
  • 冨永:
  • 当時のニーズと経緯はわかりました。交流農園プロジェクトについて、県や各構成団体の役割をお聞かせください。
  • 課長:
  • このプロジェクトでは、主に各町が実施者となる農園主の掘り起こしを行い、県が農園主に対し、事業を実施するための勉強会や交流事業などを企画運営し、町と県とで事業の参加者を募集する広報を行うなど、協働して進めております。
  • 冨永:
  • では、交流農園プロジェクトにつきまして、現在の状況と農園主の声を教えてください。
  • 課長:
  • このプロジェクトは平成25年度に終了し、現在、篠栗町と久山町の2農園で自主運営がなされています。推進会議では、県や町の広報媒体などを活用し、参加者募集を支援しております。農園主からは、「新型コロナウイルス感染症の影響により、参加希望者が増えている。そのため、募集区画を増やして対応している。」という声を聞いております。なお、1区画の広さは概ね30㎡を基本としており、現在、篠栗町の農園では、昨年度24区画だったものを、今年度53区画に増やしたところ全区画利用されており、久山町の農園でも、それまで50区画だったものを昨年度70区画に増やしており、現在はその9割が利用されている状況です。
  • 冨永:
  • 確かに、コロナ禍で本県は度重なる緊急事態宣言の対象地域に指定され、不要不急の外出の自粛が求められました。いわゆる3密を避けて、郊外でのキャンプやアウトドア等が盛況となったほか、家庭でも簡易的なものから本格的なものまで野菜の栽培をされる方が増えるなどライフスタイルに大きな変化があったように思います。そうした背景もあり、この体験農園も非常に賑わいを見せていると感じています。しかしながら、答弁されたように現在は、自主運営とのこと。広域連携プロジェクトの開始の流れについては、先ほどお聞きしました。では、プロジェクトの終了についてはいかがでしょうか?プロジェクトは、期間を決めて行っているのか?または、成果指標のようなものを定めてやっているのか?そうであるならば、評価は誰が行うのか? お聞かせください。
  • 課長:
  • 推進会議では、基本的に3年ごとにプロジェクトの評価を行っており、一定期間ののち、各プロジェクトが市町村や地域団体等により、それぞれの地域で自立し、自走していくことを目標に取り組んでおります。成果指標については、例えば、交流農園プロジェクトにおいては、参加者数(区画の入園率)であったり、参加者のアンケートによる満足度などをもととしており、推進会議において評価を行いました。
  • 冨永:
  • それでは、広域連携プロジェクトの期間終了後も、自立、進行しているプロジェクトについてお聞きします。広域地域振興課では、期間終了後のプロジェクトについても、広報による支援や後援名義の付与を行っておられます。しかし、それでは、どんどん広域地域振興課にプロジェクトが溜まるだけ、当該プロジェクトにとっても現状維持の状態が続き、県が関与しているメリットが少ないのではないかと考えます。
  • そこで、例えば、そのプロジェクトをもとに実施主体の皆さんが次の展開に意欲を示す場合などは、県の所管の部局につないで、そこで専門的見地から当該プロジェクトのブラッシュアップをしてもらうなど、県庁内で連携を図ることにより、広域連携プロジェクトの新たな展開を支援すべきであると考えるがいかがでしょうか?課長の考えをお聞かせください。
  • 課長:
  • 各圏域で実施している広域連携プロジェクトは、それぞれの地域の特性や地域資源を活用し、様々な関係者に御協力いただきながら、様々なテーマで実施しております。例えば、現在実施しているプロジェクトをみても、中学2年生を対象にした人材育成プログラムである「田川飛翔塾」スポーツを活用した地域振興プロジェクトである「走りとーなるちくご」「日本一の京築・神楽の里づくり」など、プロジェクトの目的、手法も様々であり、その分野も多岐にわたっています。そのため、委員が言われるとおり、広域連携プロジェクトの期間経過後も、市町村や地域団体等において新たな展開に挑戦する場合には、専門的見地からの支援が有効であると考えます。そこで、プロジェクトの期間が終了する際には、推進会議において、自走後の展開について十分に協議し、必要に応じて、県庁内で連携を図って支援してまいります。
  • 冨永:
  • 課長ありがとうございます。プロジェクトが終了しても、社会の変化に応じてリバイバルしたり、更に、進化させることもできると思います。先ほどの私の地元の話で言うと、農林水産部と連携すれば、新たな担い手の創出や既存農家の収入の確保、商工部と連携すれば、ポストコロナのマイクロツーリズムや6次化、ブランド化へ発展、教育委員会と連携すれば地産地消などの食育に…と夢が膨らんでしまいます。今後の知事のふるさと訪問などにも活用できるのではないかと期待します。他にも、職員の皆さんの働き方改革の面、プロジェクトの効率化、生産性でもいい結果が生まれるのではと考えるところです。最後に、今後、庁内連携による広域連携プロジェクトの新たな展開について、部長の考えをお聞かせください。
  • 部長:
  • 委員からは、プロジェクトを社会の変化に応じて進化させていくには、県庁内のいろいろな事業部局との連携が効果的ではないかとの御指摘をいただきました。さらには、職員の働き方や生産性の面からも有効ではないかとの御提案であります。自治体や地域の団体、NPOなど様々な主体が連携して、先導的で先進的なプロジェクトに取り組んでいくことは、地域の活性化に際して、大変重要なことであると考えております。その取組の更に新しい展開に向けて、関係する皆さんが様々に模索し、努力していくことは、大いに意義があることだと思います。県としましても、しっかりと庁内の連携を図り、このようなプロジェクトの新たな展開を支援してまいりたいと考えております。
  • 冨永:
  • ますます魅力的なプロジェクトの企画を期待しまして質問を終わります。